Books Review No.111 クラウド化する世界
- 作者: ニコラス・G・カー,村上彩
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2008/10/10
- メディア: 単行本
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このニコラスGカーという人はハーバードビジネスレビュー誌の上級編集員だけあって文章の書き方がうまい。
訳者の方もとてもうまいと思う。
この前にクラウドについて、『クラウドの衝撃』という本をレビューしたが、この本は普段はITに関わらない人でも、語彙のレベルを問題にしなければ普通に読み物として楽しめると思う。
『バーデンの水車』や『トーマスエジソンとサミュエルインサルのGE』を比較対象にしながら
『商品を物理的な形態やコストから解き放った、インターネットと情報産業がもたらす新しい経済』を語る。
潤沢なインフラが可能にする『SaaS Software as a Service』
グーグルやアマゾンがすでに着手しているクラウドコンピューティングの時代に
企業のビジネスモデルはどう変わるか?
後半ではAI(人工知能)にもふれる。AIのところはもう少し先の話か。
技術者でなく科学者に向かう矢野としてはこれに関わることはないが、
物理の世界でも超有名なデカルトの言葉を思い起こす。
『肉体は常に、思考する頭脳の障害である』
障害を本気で解き放とうとしている人たちがいる。
AIははじめから肉体から開放されている。そして、思考のスピードははるかに速い。
まさに名著『2001年宇宙の旅』のコンピュータ・ハル。
思考し続け、自分自身ではるかなスピードで進化する。
グーグルでは開発チームが『実際に人工知能開発に取り組んでいる』
その目標達成は『世間が考えているほど遠い先のことではない』
ビルゲイツでさえビビるこの世界。
この間、うちの情報テクノロジー学科をでた韓国人留学生との議論で『ターミネーターはいつできるか(作るのが可能になるか)?』を話したことがあった。
もっと話したかったけど…。
世界の最先端で、優秀な人々の思考は解き放たれ始めているよ。
放たれすぎていると不安に思うのは僕だけか?
まあ見守るしかないのか。
どんだけ優秀だろうが、人間はもっと弱くて愚かで危ういと思っている矢野は不安です。