Books Review No.112 貧困のない世界を創る

貧困のない世界を創る モハメド・ユヌス著 猪熊弘子訳 早川書房


貧困のない世界を創る

貧困のない世界を創る


2006年度ノーベル平和賞受賞、モハメドユヌス氏(グラミン銀行総裁)の受賞後初の著作。


著者の立場からして当然であるが、ソーシャルビジネスを若干、賛美しすぎるきらいはある。


しかし、著者は『誰一人貧しい人のいない世界を創りたい』という思い行動する。素晴らしい。


目次を引用すると


+ソーシャルビジネスの約束

  • 新しい業種
  • ソーシャルビジネスーそれはどのようなものなのか


+グラミンの実験


+貧困のない世界

  • 広がりゆく市場
  • 情報技術、グローバル化、そして変容した世界
  • 繁栄の危険
  • 貧困は博物館へ


私が本書で好きなのは、第二部グラミンの実験の中の『マイクロクレジット革命』というところである。


ここではなぜ著者がグラミン銀行を立てるのに至ったのかというエピソードが書かれているのだが、
人々を貧困から救うきっかけになるマイクロクレジットの誕生と初期の活動が書かれている。


この部分がグラミン銀行の役割の本質だと思う。


そして、経済学の教授から、貧困と闘う銀行家になったユヌス氏から教えてもらうことはたくさんある。


ただ現在の日本ではこの考え方は通用しても、このやり方は通用しないだろう。それはなぜか?


そして代わりにどのような仕組みが必要か?


本書を読んでくださり、一緒に考えてくださる方、議論しましょう。


そして、『貧困を博物館へ』