Books Review No.143 実験物理学講座⑥磁気測定Ⅰ

実験物理学講座⑥磁気測定Ⅰ　近圭一郎、安岡弘志著　丸善

磁性物理学を主に実験で研究している人には、おすすめの本。

磁性体とは何かから始まり、その基本的な振る舞いを見て、その測定方法を紹介していく。

タイトルを列挙すると、

1. 磁性体と磁気測定
2. 直流磁気測定
3. 動的磁気測定
4. 中性子磁気散乱
5. X線磁気ブラック散乱
6. 磁気光学効果
7. 超音波測定
8. 磁区の観測
9. トピックス、磁性体の巨大磁気抵抗効果

自分の専門領域なのもあるけど、一番参考になって何度も読んでいるのは

4. 中性子磁気散乱
5. X線磁気ブラック散乱

の項。（行き詰まったときに視野を広げるために使う。また、習慣的にこの慣れた数式を見ていると落ち着くんだと思う笑。）

本書を読む人は同じ磁性を研究していても、バックグランドは異なるかもしれない。

専門に使っている測定装置も異なるでしょう。

しかし、本書を読むことによって、自分の専門はもちろん、他の測定装置でやっていることも知ることができる。

そしてなにより、磁化の振る舞いや磁化測定など、共通の基礎から書いてあるのが大変うれしい。